Wednesday, May 9, 2012

「空かずの多目的トイレ 車いす利用者の74%、諦めた経験」

東京新聞が国土交通省が行った多目的トイレの利用についてのアンケート調査の結果を公表した。

東京新聞 「空かずの多目的トイレ 車いす利用者の74%、諦めた経験」

以下は記事の引用:

「車いす利用者の74%が、他の人が使用中だったことを理由に、身体障害者用トイレにおむつ交換台や着替え台などを備えた「多目的トイレ」の使用を諦めた経験があることが国土交通省のアンケートで分かった。
 国交省は、多目的トイレに機能を集めすぎ、子ども連れや手すりが必要な高齢者らの利用が増えていると分析。一般トイレに機能を分散させて利用者を 誘導するため、公共トイレを整備する自治体や公共交通事業者向けに、バリアフリー法に基づく整備ガイドラインを改定する方針だ。
 アンケートは、全国の車いす利用者百五人に昨年十一~十二月に実施。94%が待たされた経験があり、待たされた相手(複数回答)は、83%が「子ども連れ」を、71%が「障害者に見えない人」を挙げた。多目的トイレが足りないと感じる人も75%に上った。
 ガイドラインの基となる「建築設計標準」の改定案では、多目的トイレとは別に、親子がベビーカーごと入れる広めの個室トイレの設置が必要だとし た。おむつ交換台やオストメイト(人工肛門・人工ぼうこう保有者)向けの汚物流しを一般トイレに増設することや、男性の育児にも配慮し、男性用トイレにも おむつ交換台などを整備するのが望ましいとしている。
 アンケートでは「折り畳み式のおむつ交換台が開きっぱなしで多目的トイレに入れなかった」「荷物が多いせいか、空港で客室乗務員が平然と使っている」といった指摘もあり、国交省はポスターを各施設に配布しマナー向上を呼びかける。
<多目的トイレ> 広いスペースに洋式便器や手すり、オストメイト用の水洗器具を備えた障害者トイレに、おむつ交換台や着替え用の踏み台といった子 ども連れ向けの設備を加えたトイレ。2000年以降に増えた。「みんなのトイレ」「どなたでもどうぞ」と表示されるケースも多い。障害者トイレは、バリア フリー法で床面積2000平方メートル以上の学校、駅、百貨店など公共建築物に整備が義務付けられている。」

多目的トイレの利用状況、その問題点などを調査するのは非常に大切だと思う。
でも、この問題分析と公表の仕方は多目的トイレは障害者が最優先に使うべきである、という前提があって、障害者以外の利用者がまるでマナー違反をしているかのようだ。

私はジェンダークイアで、女子トイレに入るとしょっちゅうハラスメントを受ける。「ここは女子トイレよ」とか「なんで男子がいるの」とかいう直接的な言葉でのハラスメントはもちろんのこと、全身をじろじろ見られたり、挙げ句にはセキュリティを呼ばれることもある。そんな状況では安心して女子トイレには入れないし、男だと思っている訳でもないから、男子トイレにも入り辛い。

だから私のようなジェンダークイアや、トランスジェンダーの人々にとっても第3のスペースである多目的トイレは非常に重要だ。他にも一見障害者に見えなくても、障害者でなくても既存のトイレの施設が不自由になる理由は多々あるはずだ。

調査分析自体も、設備が多目的トイレに集中し過ぎている、あるいは高齢者の増加などの設備の問題点を自ら指摘しているにも関わらず、「マナー向上」を呼びかけるという、利用者を批判する方向に持っていく。不備の責任を利用者に転嫁するやり方、本当に稚拙だ。むしろ、ご不便をおかけし申し訳ございません、っていうポスターでも貼るべきなんじゃない?

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